最近、テレビや新聞、雑誌などで 『若者の〇〇離れ』 と題した記事を目にする事があります。
クルマ離れ、ゴルフ離れ、活字離れ・・・etc.
たしかに、私自身そういったことを感じないわけでもありません。
先日、現役大学生と話をする機会がありましたが、そのときに、 その大学生がクルマを所有する事に何の興味も持っていないという話題になりました。そして、それはその本人だけではなく、周りの友人もそういう考えを持っている割合がことのほか多いということがわかりました。
もちろん、たったこれだけのことで現代の若者の価値観をひと括りにするつもりはありませんが、そこには、私が若者と呼ばれていたときとは、少しなにか違う価値観を持っているなという感覚を覚えたのも確かです。
一方、私がこれまで深く関わってきたブライダル業界にも、『結婚式離れ』 という言葉が存在します。これはつまり、「結婚式をしたくない」 という考えを持った未婚の若者が増えている事を意味します。
その理由として上位に挙げられるのが、
・経済的、金銭的理由
・再婚、授かり婚
・ 少人数のお食事会で十分
といったものになるようです。
これらの理由を分析してわかる事があります。
「結婚式をしたくない」 と考えている人たちは、旧態依然とした結婚式に拒否反応を示しているという事です。
たとえば、「経済的、金銭的理由」 という中には、収入や貯蓄が少ないからということばかりではありません。一般的に300万円かかるといわれている結婚式に、そこまで費用をかけたくないという考え方や、自分が呼ばれる立場で、ご祝儀制(一般的に3万円といわれています) というものに対する懐疑的な考え方も含まれているのだと思います。
時代や環境が変われば、そこに生きる人の生き方や考え方が変わるのは至極当然の事です。それは、ダーウィンの「進化論」 を持ち出すまでもない明らかなことです。
我々ブライダル業界に身を置く者がしなければならない事は、旧態依然とした形式に無理矢理はめ込もうとすることではなく、いかにニーズの先端を捉え、それをわかり易いかたちのサービスで提供していくことに懸かっているのではないでしょうか?
もし、「若者の〇〇離れ」 という言葉が、マスメディアの煽りによる虚構ではなく実態として明らかなのであれば、それは、やはり深刻な事態と捉えるべきかもしれません。
しかし、その責任は、若者本人によるものだけではなく、そういう社会の仕組みを創り上げてしまった大人達に因るところも、決して小さくはないでしょう。
そんな中で、われわれにできる事、私に限って言えば、良いものをつくり、期待以上のものを提供し、「結婚式やってよかった!」 といわれるものを提供していくことに務めがあると思っています。
脈々と引き継がれていく人々の暮らしに、花という生き物を介して、少しでも相互理解を深めていくことに、私の役割があると考えています。
劇的花屋(ドラマティックフラワーズ)
フラワーアーティスト|和田 浩一