さて、いよいよ胡蝶蘭のご紹介です。
私が伺った9月のはじめは時期が少し外れていたようで、ご主人曰く、
「もうあと1ヶ月遅くお越しくだされば、よりどりみどりの胡蝶蘭をお見せすることができたんですけど。」
と、やや残念そうにおっしゃっていました。
こちらの生産農家では、白に限らずたくさんの品種を栽培していることも自慢の一つなのです。
ピンク・黄色など多彩な品揃え。
たとえば、ひと口にピンクといっても微妙に色合いの異なる品種がいくつもあります。ご主人の口ぶりとは裏腹に、今ここにある品揃えだけでも十分に私たちの目は楽しむことができました。
実物、すごくきれいです。
1番目の、やさしいピンクに山吹に近い黄色の掛け合わせは絶妙のバランス。
2番めの品種などは、ミルクのような乳白色の花弁がなんともいえません。
3番目は絞り柄のような華やかさが目を惹きます。
う~ん、写真とこの稚拙な表現からでは微妙な色のニュアンスを伝えきれないのが残念です。
■ミディ系胡蝶蘭
以上のように、淡い色立ちに品の良さを感じるものから絞り柄のような華やかさを持つものまで、これらは総じて “ミディ系胡蝶蘭” と区分されています。
ミディ系胡蝶蘭の特徴は、その名前から連想される通りコインの大きさ程度しかない花の小ささにあります。ご自宅用として飾るのには手ごろなサイズのミニチュア胡蝶蘭です。
ところが、こちらで栽培されている “ミディ系胡蝶蘭” の特筆すべき点は、ミディ系にしてはかなり大きなつくりになっているところです。普通の白い3本立ちと並べてみてもなんら見劣りするところはありません。
こういったことも、生長を格段の度合いで促すことのできる 『プレサブ・バーク栽培』 の為せるワザなのだそうです。
これだけの見栄えがあれば、お祝い用としての機能も十分に果たしてくれるといえるでしょう。
この、3番目の品評会で受賞した経歴をもつ “ミディ系胡蝶蘭” は、特にご主人の自慢の品だそうです。
何が自慢かというと、“扇状に広がった並び” なのだそうです。
よほどの腕前がない限り、このような並びに仕立てることは至難の業だということでした。
同業者の方が見学にきたときは、この品を見ると必ず驚かれるそうです。
もし、このような逸品を会社の移転祝いなどに贈ったならば相当な話題になりそうですね。
■希少価値の高い “ミディ系胡蝶蘭”
“ミディ系胡蝶蘭”は数多く市場に出回っていません。
その理由を簡単に言うと、「儲からないため作っている生産農家はごくわずか」 ということになります。
その小ぶりなサイズ感から高い価格帯での取引をしてもらえず、しかし、栽培にかかる手間はどの胡蝶蘭とも大差がないわけです。逆に、種類によって微妙に手入れ方法が違うので、あまり数多くの品種を育てることはそれだけ手間を増やすことになります。
そうであるならば、白い胡蝶蘭だけに特化して栽培したほうが効率性はグンと上がります。
しかし、そうであることがわかっているにもかかわらず、こちらのご主人は数多くのミディ系胡蝶蘭を栽培しています。
理由を尋ねると、
「半分趣味のようなものですから。」
と笑って答えてくれました。
隣で聞いていた奥様は、
「趣味でやってもらっては困ります。」
と、ご主人のおおらかな仕事感に少し地団太を踏んでいる様子でした。
この奥様が、またしっかりとご主人を支えていらっしゃるのです。
■奥様のサポートがあってこそ
今回、私たちを空港まで迎えに来てくださったのはこの奥様です。
奥様が自ら運転して空港まで迎えに来てくださいました。
そして、一番初めにも述べましたが、私たちが空港の出口から足を踏み出しその姿を目に留めたときには、すでに車から降り姿勢を正した状態で私たちのことを待ってくれていました。
この奥様は、普段からご主人の仕事をサポートするため、子育ての合間を縫ってはホームページや印刷物の類を独学によって自ら制作しています。そして、きめ細かく作業マニュアルの管理をなさっています。
ただ言われるがままご主人の手伝いをするというのではなく、自ら考え行動に移し、まるで個人事業主のような責務を自ら背負って売り上げを生み出しているのです。
このただならぬ行動力には畏敬の念さえ湧いてきます。
私の同行者は、
「これでは時間がなくてできないとかいう人の言い訳は一切通用しないな。」
と一言漏らしました。
確かにそのとおりだと私も思いました。
そして、普段の自分を顧みて少し恥ずかしくなりました。
ご主人も、当然この奥様の働きというものには一目置かれていることでしょう。
目先のお金の勘定に振り回されることなく大局的に仕事ができている理由も、実はそこにあるのかもしれません。
この奥様の、計り知れない利益を生み出しているであろうサポートに、ただただ敬服するばかりです。
このスーパー奥様、いまの話からしてどれだけのキャリアウーマンのような人なのだろうとその人物像を思い浮かべる方も多くいらっしゃることでしょう。
しかしながら、私が初対面で印象を抱いた「宮崎県の温暖な気候そのもののような人」という表現は、この話を伺った後も、一切変わっていないことを一言付け加えておかないわけにはいきません。
はい、と~っても “ほんわか” した印象のお方なのです。
人を見かけだけで判断すると
「全然イメージと違ったー」
ということを、あらためて思い知るに至りました。
いよいよ次回が最終話です。
ここまできたらどうぞ最後までお付き合いください(笑)
◇◇開店・開業祝いに “ミディ系胡蝶蘭” を贈って差別化を図りませんか?◇◇