結婚記念日をスイートルームで過ごす|サプライズ演出は花で決まり!

結婚記念日 inスイートルーム
結婚記念日 inスイートルーム

 

ある任命を受け、都内外資系ホテルの高層階デラックス・スイートルームへ行ってきました。

「結婚記念日のお祝いをホテルの一室で過ごすので、ゆっくり眺められるお花を飾って欲しい」という内容のミッションでした。旦那様から奥様へのサプライズプレゼントです。

お花の種類からデザインまですべて一任されましたので、ふたりが花を眺めてゆっくり寛いでいる姿をイメージしながら、フラワーデザインの構想に入りました。

鳥のさえずりと川のせせらぎが心地よく響く木陰のひと隅。目に優しい緑と淡い色合いの草花が一面をおおう穏やかな午後のひととき。緩やかな風はほのかな甘い香りの運び手となり、日常を忘れるために訪れたふたりを優しく包み込む‥‥‥

そんなシーンを思い浮かべながら、大きなバスケットに季節の花たちをアレンジしていきました。

 

 

アイキャッチに据えたのは紫色のライラック。数メートルもの大木に生長する、この時期が旬の花木です。
フランス名・リラ の愛称でも親しまれ、香水の原料として使われるほど大変良い香りを放ちます。
色の呼称で用いる 「ライラック色」 とは、まさにこの花の色を指しています。

たわわに実った果実のような、ボリュームある房咲きの花がきっとふたりの目にとまってくれるはず。そうあってほしい。
そんな想いを込めてアレンジしていきました。

 

森の中の草花を摘んだブーケ
森の中の草花を摘んだブーケ

 

そして、もうひとつ。
同じテイストで統一したブーケをご用意しました。

 

セットアップ完了してから2時間ほどが経ったところで、チェックインを済ませたご依頼主である旦那様から早速メールをいただきました。

そこには、写真つきでこう書かれていました。

 

=15分ほど眺めていました。
ありがとうございます!とても素敵です。
お部屋にマッチしていると家内も喜んでいます。=
お客様からいただいたお写真

 

お客様からいただくメッセージ。
チェックインするなり15分間も眺めてくれた…

これって凄いことだと私は勝手にそう思う。報われる瞬間です。

お客様にご満足いただけたことを確認できた時、そこに到ってはじめて、ひと仕事終えた充足感が体中をここち良く巡ります。必ずそこには、「ああしておけば良かった」「こうするべきだったか」といった反省もセットで付いてくるのですが‥‥‥

それと同時に、“花のチカラ” というものを、あらためて思い知ります。
“たかが花” かもしれませんが、“されど花” なのです。

たとえば指輪やネックレスのように、形あるものとして一生保有することはできません。
花は刹那的なものです。

しかし、その分、感動という無形の財産となって、心の中に一生保有されるチカラを花は持っているのだと、こうした毎に、このような確信めいたものが芽生えてくるのには自分でも驚きです。
この感情は、年々、経験を積み重ねていくにつれ増すばかりです。

大切な結婚記念日のサプライズ演出。
そのアイテムに花をご指名いただけたという事実および15分もの間眺めてくれたという結果。

果たして、この先、花の可能性はどこまで広がっていくのだろうか?
そんなことを考えているとアドレナリンが出て眠れなくなってしまうじゃないか。
いやいや睡眠時間を削ってでも、もっともっと発信していく価値はあるだろう。
そうですか、そこまで所望されるのであれば、最早それに従うまでにさもありませんな。。。

嗚呼、そうして夜は明けてゆく。

 

結婚記念日 in スイートルーム

劇的花屋(ドラマティックフラワーズ)
フラワーアーティスト 和田浩一