品種名:イヴ・ピアッチェ(Yves Piaget)
■作出年 :1983年度
■作出国 :フランス/Meilland(メイアン社)
■系統 :ハイブリッド・ティ(HT)
■花色 :ローズピンク
■花形 :シャクヤク咲き
■香 り :強香(ダマスク・モダン)
香り
バラの大きな魅力 “香り”。
モダンローズの香りは、大きく7種類に分類されています。
ダマスク・クラシック・・・ 古典的なバラの香り。強い甘さと華やかさ、コクを併せ持つ。香水に良く使われる香り。現代バラには典型品種が少ない。
ダマスク・モダン ・・・ クラシックの香りを受け継いでいるものの成分バランスは異なり、より情熱的で洗練された香り。
ティー ・・・ ダマスク系とは全く異なる成分を持つ。香り立ちは中程度であるが上品で優雅な印象。現代バラに最も多い。
フルーティー ・・・ ダマスクとティーの成分が混在されている。ピーチやアプリコット、アップルなど果実を連想させる香り。
スパイシー ・・・ ダマスク・クラシックの香りを基調とし、香辛料のグローブ(丁字)のような特徴を持つ香り。日本原産に多く見られる。
ブルー ・・・ 青バラ系品種特有のもの。ダマスク・モダンとティーをミックスした他にはない独特の香り。
ミルラ ・・・ ハーブのアニス(ウイキョウ)に似た香りで、甘さを抑えつつ青臭さを強めたような香り。イングリッシュローズの一部の品種に認められている。
イヴ・ピアッチェというバラの香りは、この中の 「ダマスク・モダン」 に分類されます。
「ダマスク」は、西洋生まれのオールドローズの古典種のひとつです。
まさに情熱的といえる華やかで強い香りは、嗅いだ人をウットリとさせてしまう媚薬のような危うさを秘めています。
シャクヤクを思わせる大振りでフリルを幾重にも重ねたような咲き姿と、ローズピンクといわれる天然とは到底思えないビビッドな発色が、圧倒的な存在感をもってわれわれの目に飛び込んできます。
アンティーク系の風貌は、一見オールドローズと認識しがちですが、れっきとしたモダンローズの “ハイブリッド・ティ” という系統に属します。
モダンローズとハイブリッド・ティ
ハイブリッド・ティというのは、四季咲きの代表的な系統で知られ、現在生産されている一輪咲き(大輪)のバラの大半が属している色彩や品種を豊富に揃えた系統です。耐寒性・強健性にも優れています。
四季咲きといえば、西洋文明に深く根ざしたオールドローズは、春にしか咲かない一季咲きのものでした。
ところが、中国から伝わった四季咲きの “コウシンバラ” との交配が、姿・香りはオールドローズなれど、季節を過ぎても繰り返し咲かせることのできる “新品種の誕生” へと導いていくのです。こうして、モダンローズの幕が開きます。
つまり、モダンローズは “西洋と東洋の出会いによって生まれたバラ” ということになります。
名前の由来
イヴ・ピアッチェの読み方は、作出国のフランスでは 「イヴ・ピアジェ(Yves Piaget)」 が正式のようです。スイスの高級宝飾ブランド「ピアジェ(Piaget)」の4代目会長の名前に由来しているそうです。
日本では「イブ・ピアッチェ」の登録になっています。
華麗なる一族
1982年バガテル国際コンクール芳香カップ賞
1982年ジュネーブ国際コンクール金賞および芳香賞受賞、他2賞受賞。
イヴ・ピアッチェには輝かしい経歴があります。
そして、イヴ・ピアッチェの出現以来、“イブ” を冠したバラが続々登場しました。
『イヴ・ミオラ』 『イブ・シルバ』 『イヴ・シャンテマリー』『イヴ・クレール』『イヴ・パッション』 …etc.
また、“イヴ” は付かないものの 『レッド・ピアッチェ』 という枝変りも存在します。
これらは、多くの愛好家たちが、イヴ・ピアッチェの魅力にとり憑かれたことを物語る証になるのではないでしょうか。
かくいう私もそのうちの一人で、イヴ・ピアッチェの芳醇な香りに包まれると、疲れた頭と身体に生気を取り戻そうと、はるか彼方遠いフランスへトリップするような深い呼吸を繰り返してしまいます。
シャンパンの泡のような膨らみに溢れたイヴ・ピアッチェは、フランス生まれにふさわしいエスプリを備えた、華麗なイヴ一族の最高級エチケットといえるでしょう。
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フラワーアーティスト和田浩一