日本での胡蝶蘭の生産は、これまでは水苔による栽培が主流でした。
しかしながら、本来、胡蝶蘭は着生植物。
木に着生しながら空気中の水分を吸収するのが胡蝶蘭の自然な姿です。
そういったことから、近年、バーク(木のチップ)を用いた栽培が徐々に広がってきています。
バークによる栽培は、これまでの水苔に比べると株の生長が早く生産効率を押し上げる好結果をもたらしましたが、反面、花の大きさが小さくなったり、輪数が少なくなったりという問題点も浮き彫りになりました。
そこで、ヨーロッパの胡蝶蘭栽培ですでに用いられていた 『プレサブ(バーク)』(※注)に転じたところ、花の大きさや輪数に改善が見られ、それどころか花の寿命も長くなったのです。
※『プレサブ(バーク)』=
プレミアム・サブソレートの略。園芸先進国のヨーロッパでは、この培養土を基準に広く栽培されている。植物の生長にとって大切なPH値を胡蝶蘭栽培の最適値にあわせている。また、CN比(炭素・窒素比率)が最適値に調整されているため肥料の吸収が非常に優れ、根の張りが良く比較的簡単に栽培できる。
その他プレサブの特長としては、プレサブ自体が腐りにくい材質から胡蝶蘭の病気を未然に防ぎ、ポリポット(鉢)での管理なので水やりも簡単。7~10日に1度の割合でコップ1杯の水を与えれば十分なのです。
水やりについて注意が必要なのは、プレサブの場合、株ごとにポットに入っているという点です。つまり、3本立ちの胡蝶蘭の場合だと、大きな化粧鉢の中に小さなポットが3つ入っているので、それぞれのポットに水やりをしなければなりません。その点だけ注意が必要です。
いままで水苔は20年以上の実績があり育成方法もある程度確立されてきましたが、一般の人が管理するには根腐れを起こしやすいなどいろいろと問題が残っていました。
加えて、水苔には通気性に優れる素焼き鉢が正しい組み合せですが、最近の胡蝶蘭はどれもオシャレな化粧鉢に入れられています。セラミック製などの化粧鉢は通気性が悪く蒸れやすい。そのことからも、 排水性にも優れた 『プレサブ栽培』 は、現代の胡蝶蘭観賞に適した管理方法ということがみてとれます。
もし、今ご自宅やオフィスに胡蝶蘭がある方は、ちょっと鉢の中を覗いてみてください。『水苔』 か 『プレサブ(バーク)』 かで、水やりの仕方に大きな違いがありますので要チェックです。
◇◇移転祝いに贈るなら、管理のしやすいプレサブ栽培の胡蝶蘭◇◇