ウエディングデザイナーという職業について

同業の知人とランチをしていて 『ウエディングデザイナー』 という言葉をはじめて耳にした。

知人曰く、『ウエディングプランナー』 ではなく 『ウエディングデザイナー』 なのだそうだ。

『ウエディングデザイナー』 という職種は、日本では耳慣れないもののアメリカではわりと認知度が高いらしい。

アメリカは “個” を尊重するお国柄だから、結婚式の在り方も当然日本のそれとは大きく違うはず。

そうなると、“個” を尊重する結婚式がアメリカのスタンダードということになるわけで、日本式の 「この中からどれかお好きなものをひとつお選びください」 といったマニュアル化された結婚式は通用するはずもないのは火を見るより明らかだ。

つまりは、マニュアル化されたメニューに沿ってお客様を誘導する職種を『ウエディングプランナー』と呼び、お客さまの意向に沿ってオリジナルコンテンツを組み立てていく職種を『ウエディングデザイナー』というふうに区分すれば、この二つの言い回しについて自分の中ではなんとか収まりがつきそうだ。

なればこそ、アメリカにおいては 『ウエディングプランナー』 よりも 『ウエディングデザイナー』 がポピュラーであるということも合点がゆくだろう。

とまあ、この論議はひとまず置いておくとして、これからの展望について、花屋としてのウェディング業界内での立ち位置を変えていかなければいけないだろう、という話題に切り替わった。この話題を提供したのは私だ。

ところが、知人も同様のことを考えていたようで、驚いたことに話を聞いてみると、そういった動きをすでにし始めていた。

とある西方の都市のレストランウエディングの分野で市内ナンバーワンの業績を誇るフラワーショップを経営している知人にとっても、ウエディングビジネスにおける花屋の立ち位置にはある種の限界を感じずにはいられなくなっていたようだ。

と、こう言ってしまうとなんだかネガティブな響きに聞こえるので、「ウエディングビジネスにおける花屋の立ち位置をもっと高めていきたくなってきた」 と言い換えておこう。

いずれにしろ、知人は動き始めていたのだ。

そして、かくいう私も…実はそういった動きをし始めている、ことを告げた。

そのことに同意しつつ、知人も少し驚いているようだった。

さあ、こうなってくるともうウカウカしてはいられない。

人生はサバイバルレース。

私と知人がこういった話をしているということは、どこかできっと同じようなことを話している御仁がゴマンといるに違いない。いや、もうすでに具現化している御仁もいることだろう。

私は知人と別れるなりすぐさま、Amazon.でウエディングコーディネートに関する書物を4冊まとめて注文した。

それが正しい行動なのかどうかはよくわからないが…

きっと私たちの考えは、いずれ近いうち大きな話題となって業界に新たなストリームを生むだろう。

なぜなら、アメリカで流行したものが少し後れて日本でも流行するというのは、ビジネスにおける定石のひとつであるからだ。

『ウエディングデザイナー』という活字が賑わい出だす時期はもうそう遠くはない。

幸運にも、私と知人はそのストリームの前方にいる。と思う。

このまま前方でストリームを描いていけるのかそれとも飲み込まれてしまうか。

その手始めに、近日 「そういった動き」 の正体を明らかにいたします。

フラワーアーティスト和田浩一|劇的花屋