ウェディングブーケの作り方|ワイヤリングブーケ

ウェディングブーケには、様々な型があります。
キャスケード型、オーバル型、ティアドロップ型、ラウンド型、バッグ型、クレッシェンド型、Sシェイプ型、シャワー型、リース型、ボール型…etc.

そして、制作過程においては、大きく3つの技法に分類することができます。
ワイヤリングブーケ。ホルダーブーケ。クラッチブーケ。

ワイヤリングブーケとは… 一輪一輪の花にワイヤーを通して組み立てていく技法。
ホルダーブーケとは… 吸水性スポンジの土台にお花を挿していく技法。
クラッチブーケとは… お花の茎を活用して花を束ねていく技法。

今日は、その中から、キャスケード型のワイヤリングブーケについて話をしていきたいと思います。

まず、キャスケードブーケがどういうものかをご覧ください。

 


百合(カサブランカ)のキャスケードブーケ

 


コチョウラン(ファレノプシス)のキャスケードブーケ

 

ご覧いただいた2つのブーケは、キャスケード型の中でもオーソドックスな部類に入るものです。百合やコチョウランは一つ一つが大輪なので、キャスケードブーケにはとても良く映えます。

『キャスケード』 とは、日本語に訳すと 『小滝』 を意味します。
流麗でダイナミックな姿からその名前がつけられたのでしょうね。
シンプルなAラインのドレスなどと合わせると、メリハリがつきゴージャスにご新婦さまを引き立ててくれます。

そして、次に見ていただく写真は、より個性的にアレンジしたキャスケードブーケです。

 


バラ、デンファレ、カスミソウを個性的に配置したスレンダーキャスケードブーケ

 


着物のリメイクドレスに合わせた、オリエンタルテイスト漂うキャスケードブーケ

 


生花に異素材をあしらったロイヤルキャスケードブーケ

 

いかがでしょうか?
一口にキャスケードブーケと言っても、様々な姿のものがあることがおわかりいただけたと思います。

このキャスケードブーケ。
花嫁さんが憧れるウェディングブーケの代表格といえますが、実は、作り手側から見ても、やはり、特別感のあるウェディングブーケなんですね。

 

キャスケードブーケを制作するに当たっては、先ほどあげた3つの技法、そのどれからでも作ることができます。どの技法を選択するのかは、作り手の方の判断によるところが大きいです。時には、ワイヤリングとホルダーのミックスで作る場合もあるようです。

私は、主にワイヤリングの技法で作るようにしています。特別な理由がない限りは、ワイヤリングでキャスケードブーケを作ることにこだわっています。

ワイヤリングブーケは、3つの技法のうちで一番手間隙のかかる技法です。
花一輪一輪にワイヤーを通し、保水処理を施し、フローラテープというお花専用のテープで保水部分からワイヤー部分をテーピングします。
ひとつのキャスケードブーケを作るのに、こういった工程を踏んだパーツをだいたい100~150個、大作になればそれ以上用意します。

ここまでの作業を一人でこなした場合、ゆうに半日は費やすことになるでしょう。
背中から腕にかけては鈍い痛みも伴ってきます。慣れない人がやると途中から握力がなくなり、十分なテーピングができなくなるほど地道で辛い作業といえます。

そして、その作業を終えてから、いよいよ組み立てに入るわけです。

実は、私はこれらの下地作りが嫌いではありません。
地味で寡黙なルーチンワークですが、ある意味、この作業が、ワイヤリングブーケならではの肝の部分になるからです。

花は、同じ種類の花とて2つとして全くに同じ表情を持つものは存在しません。
パーツ作りをしている最中、私は一輪一輪を吟味し、どの部分にどの花を持っていったらよいかを頭の中で計算します。また、その時に、新郎新婦のお二人のことを考えたりもします。そうやって、集中力を高めることにもこの時間を役立てています。

そのような過程を経ていざ組み立てに入ると、迷いなく配置も決まり、さらに、プラスアルファのアイデアが生まれたりもしてくるのです。

本番当日のご新婦さまはそれどころではないと思いますが、実は、ブーケを作った本人が直接花嫁さんにブーケを手渡したときに、花嫁さんがどう反応してくれるかということは、非常にもって気になるところなんです。なぜなら、作っている間中は、花嫁さんに喜んでいただきたいという一心でいるからです。

ワイヤリングブーケは、作業により多くの時間と手間を費やします。
そして、出来上がりはズッシリとした重みを感じます。

ですが、その重みというのは、作り手の心からの “祝福” に比例する重みであり、また、ご新婦さまご自身が、結婚を決意した重みとも比例するものとして受け止めていただければ、決して不快な重みに感じることはないのではないでしょうか?

“重い” と受け止めるか、“想い” と解釈するか。

結婚式でしか、立ち止まって考えることのできない時間があります。
そして、その重さ・感触を、一年経ったら忘れてしまうよりも、孫の代まで伝えられたらとても素敵なことのような気がします。

ワイヤリングのキャスケードブーケとは、そんな “想い” も込められた、一生に一度しか持つことのできない、特別感のあるウェディングブーケなのです。

 


純白のユーチャリスリリーをメインに据えた清楚なキャスケードブーケ

 

ブーケの種類と選び方|ブーケ選びの専門家 ブーケニスト 和田浩一
http://www.dramaticflowers.jp/wedding/bouquet/

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